ミナミキイロアザミウマ類 ミカンキイロアザミウマはこちら

セミやウンカに近い仲間。成虫・幼虫が食害。
 成虫の体色はオレンジ色で、背中の翅が黒い筋のように見える。体長は1mmで細長い。幼虫は黄色く細長いウジ虫のように見える。
(写真1)の左の1匹は成虫、右の3匹は幼虫。


写真1
被害
 成虫・幼虫が葉脈沿いに発生して汁を吸い、その部分の色が白く抜ける(写真2)。葉裏ではなめられたようにその部分がテカテカと光る。
 汁を吸われた部分は後に黄色、褐色に変化し、多発すると葉全体が黄褐色になる(写真3)。病害と間違いやすいが、葉の裏に虫がいることにより区別できる。


写真2
生態

春から秋まで7〜8回発生する。雑草などから飛来し、7〜9月に多い。
 カボチャ、ナスなど、様々な野菜や花で発生する。


写真3
防除
スミチオン乳剤などの有機リン剤の効果は低い。
 スピノエース顆粒水和剤、コテツフロアブル、ベストガード水溶剤、アファーム乳剤などを散布する。
 苗に発生している時は定植時にアドマイヤー1粒剤、ベストガード粒剤などを植穴に散布する。


 
花や新葉のすき間などを好み、細かな傷状の食害によって果実の変形や変色を引き起こす。
果菜類の品質を大幅に低下させるほか、一部の種類ははトマト黄化えそウイルス(TSWV)、アイリスイエロースポットウイルス(IYSV)、メロン黄化えそウイルス(MYSV)などのウイルス病を媒介する。
トマト黄化えそウイルスの媒介能力はアザミウマの種類によって異なり、もっとも媒介率が高いのはミカンキイロアザミウマで、ほかにヒラズハナアザミウマ、ネギアザミウマなどが媒介する。
アイリスイエロースポットウイルスは主にネギアザミウマが、
メロン黄化えそウイルスはミナミキイロアザミウマが媒介する。
アザミウマ類はさなぎが土中、卵が植物組織内にあり、成虫や幼虫も花の中や植物のすき間に入り込むため、殺虫剤による防除が難しい。
キュウリやナス、ピーマンなどで、定植後生育初期にミナミキイロアザミウマの被害を防ぐためには、アドマイヤー粒剤などの定植時の植穴または株元処理が効果的である。その後の生育期には発生状況を見ながらモスピラン水溶剤、スピノエース顆粒水和剤、カスケード乳剤、コテツフロアブルなどを散布する。
これらの殺虫剤は適用できるアザミウマの種類や作物が限られるので、使用基準をよく読んで防除する。
アザミウマ類に対して有効な天敵農薬として、ククメリスカブリダニやタイリクヒメハナカメムシなどが登録されている。

ミナミキイロアザミウマを対象とした害虫防除体系例 平成18年
使用時期 薬剤系統 使用薬剤(総使用回数)
定植時 フラニコチニル スタークル又はアルバリン粒剤
3月 クロロニコチニル
トルフェンピラド
呼吸酸素阻害
ベストガード水和剤(3)、アドマイヤー水和剤(3)、ダントツ水溶剤(3)
ハチハチ乳剤(2)
コテツフロアブル(2)
4〜5月 スピノシン
クロロニコチニル
マクロライド
呼吸酵素阻害
スピノエース顆粒水和剤(2)
モスピラン水溶剤(3)、ベストガード水和剤(3)、アドマイヤー水和剤(3)、ダントツ水溶剤(3)
アファーム乳剤(2)
コテツフロアブル(2)
5〜6月 IGR
トルフェンピラド
スピノシン
マクロライド
カスケード乳剤(4)
ハチハチ乳剤(2)
スピノエース顆粒水和剤(2)
アファーム乳剤(2)
農薬を使用する際はラベルをよく確認し、登録内容に従って使用すること。
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